英国式金管バンドとは
英国式金管バンドとは,ブリティッシュブラスとも呼ばれ,その名の通りイギリスで発展した独自のスタイルを持つ金管楽器のアンサンブル形態です。
吹奏楽とは違うの?と思われる方もいるかもしれません。
吹奏楽はフルートやクラリネットなどの木管楽器を含めた「ウインドオーケストラ」なのに対し,英国式金管バンドはコルネットやユーフォニアムなどの金管楽器だけで構成された「ブラスバンド」なのです。

歴史
起源
英国式金管バンドの誕生はイギリスの歴史と深く関係しています。19世紀前半,イギリスでは産業革命により貧富の差が拡大し,飲酒に溺れる労働者の増加が社会問題となりました。そこで,社会変革を求めた労働者階級の抗議活動の一環として,禁酒運動(tee’total)が広まります。この禁酒運動における労働者のレクリエーションとしてブラスバンドが誕生しました。
当初はクラリネットなどの木管楽器なども交えた演奏形態でしたが,サクソルン属の金管楽器が導入され,現在の金管楽器中心の編成へと変化しました。

サクソルンとは
1843年頃にベルギーの楽器製作者アドルフ・サックスによって考案された金管楽器群です。サクソルン属の金管楽器は、ゆるやかな円錐状の管を持ち、ピストン式バルブを備えていることが特徴です。
英国式金管バンドには,フリューゲルホーン,テナーホルン,バリトン,ユーフォニアムなどのサクソルン属の金管楽器が用いられます。

発展
禁酒運動と共に誕生した英国式金管バンドは,産業革命による楽譜の印刷技術の発展も相まって,イギリス全体に広がります。
1853年に初の継続的な英国式金管バンドのコンテストであるベルヴューコンテストが開催されたことで,編成が統一化されます。また,19世紀後半には救世軍のブラスバンドが賛美歌を演奏し、宗教的な場面でもブラスバンドが活用されるようになりました。20世紀に入ると,ブラスバンドのオリジナル曲も作曲れるようになり,現在のイギリスでは2000ものブラスバンドが活動しており「町に1つはバンドがある」と言われています。

楽器編成・配置
英国式金管バンドは以下の楽器から編成されます。
■コルネット
○ソロ・コルネット(プリンシパル,アシスタント・プリンシパル,トゥッティ×2)
○ソプラノ・コルネット
○バックロー・コルネット(リピアノ,2nd×2,3rd×2)
■テナーホルン(ソロ,1st,2nd)
■フリューゲルホーン
■バリトンホルン(1st,2nd)
■ユーフォニアム(ソロ,2nd)
■トロンボーン(1st,2nd,Bass)
■バス
○B♭バス(1st,2nd)
○E♭バス(1st,2nd)

